研究概要 |
牛散発型白血病の子牛型から樹立された腫瘍細胞株BTL-26にはc-myb遺伝子のエクソン9内に12塩基対からなるリピート構造と9塩基配列が存在し、エクソン9が特異的な欠失することを発見した。この発見を契機に牛白血病細胞でのりピート配列の存在、リピート配列が誘導するエクソン9領域の特異的なスキッピング機構、リピート配列と腫瘍化機構との関連性などをこの3年間で研究し、以下の成果を得た。 1.牛散発型白血病から由来した細胞25株を検索した処、BTL-26を含め3株(Pr1818,Pr2410)に12塩基(TGATCTGCCCGT)対配列からなるりピートが存在していた。しかし、9塩基(TCTGGGCGT)対からなる配列は株により異なっていた。12塩基対配列の繰り返し数は4回から17回と株によって異なりリピート数は不安的であった。 2.12塩基対配列の不安定性をDNA修復酵素の面から解析したが、腫瘍細胞に由来する細胞のDNA修復能は機能的であり、DNA修復酵素に起因する欠失ではなかった。 3.12塩基リピート内には逆向きにc-myb蛋白が結合するコンセンサス配列(CAACG)が存在し、この配列はc-myb蛋白が結合できる機能的な配列であることが明らかとなった。 4.エクソン9の欠失はエクソン9内に存在するc-myb結合配列により特異的に誘導さえるのではなく12塩基リピートの挿入により誘発されることが明らかとなった。 5.12塩基リピートの挿入によりエクソン9が特異的に欠失することは明らかになったが、細胞の腫瘍化に直接関与するかどうかに関しては十分な成果をえることは出来なかった。
|