研究課題/領域番号 |
09460147
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 日本獣医畜産大学 |
研究代表者 |
筒井 敏彦 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 教授 (40060529)
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研究分担者 |
堀 達也 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助手 (80277665)
河上 栄一 日本獣医畜産大学, 獣医畜産学部, 助教授 (80139352)
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キーワード | 犬 / 避妊 / 抗GnRH / 卵巣 / 精巣 / 精液 / LH / 発情 |
研究概要 |
一般に犬の避妊は、外科手術またはステロイドホルモン投与によって行われている。しかし、手術は不可逆的であり、ホルモン投与法は子宮蓄膿症などの副作用が指摘されている。そこで、これらに代わる方法として、GnRHによる免疫学的避妊法について検討を行った。供試犬は、1〜6歳の雄9頭、雌36頭のビ-グルである。投与に用いたGnRHは、抗原担体分子とするため、Keyhole limpet haemosiaminを抱合(C-GnRH)させて用いた。実験犬には、C-GnRH1mgまたは2mgを各種用量のFreund's complete adjuvant(FC)に混じて皮下に投与した。また実験群においては4または8週後にブ-スターとして、incomplete adjuvant(IFC)に混じて投与した。そして各群について、血中のGnRH抗体価、LH、testosterone(T)、progesterone濃度をRIAまたはEIA法で測定した。また雄犬では精液性状および精巣容積について、雌犬では発情発現の状況を観察した。 その結果、各種用量のC-GnRHまたはFC、IFC投与によって抗体価が上昇したのはC-GnRH1mg、CF0.5ml投与群、C-GnRH1mgまたは2mgとICF0.5ml投与群であった。しかし、C-GnRH2mg、CF0.1ml投与では抗体価の上昇は認められなかった。抗体価が維持されている間は、雌雄ともに血中LHの低下がみられ、上位が抑制されていることが認められた。この間、雌犬では発情が抑制され、雄犬では末梢血中T値の低下、精巣容積の減少および無精子症が認められた。 以上のようにGnRHの抗体価の上昇によって雄雌ともに、下垂体、性腺機能を抑制し、避妊効果があることが明らかとなった。ただ、投与部位での炎症が激しく、臨床応用にはこの点を解決するため新しいadjuvantの検討が必要と思われた。
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