犬の免疫学的避妊のため、conjugated-GnRH+adjuvantの投与を行うと、GnRH抗体価の上昇に伴って上位が抑制され、雌犬では発情の阻止、雄犬では精巣容積の減少および無精子症が認められた。しかし、これらの避妊効果は数ケ月で、その後、抗体価の低下に伴って、雌雄ともに繁殖能が回復する。今回は、この避妊処置を繰り返し行うことが可能であるか、また、長期に維持することが可能であるかを検討した。合わせて、Freund's adjuvantに代わる、炎症の少ないadjuvantの検討を計画した。そこで、抗原として長期に刺激を与える方法としてC-GnRHをシリコンに包埋して、これを皮下に移植する方法を検討した。実験として、(1)C-GnRH移植+adjuvant(2)C-GnRH移植+C-GnRH+adjuvant(3)以前に免疫処理した犬にC-GnRH移植 (4)adjuvax、MPL+TDW+CW、Alum、Alum+MDP+squaleneのadjuvant効果について検討した。 その結果、(1)では、抗体価の上昇が見られなかった。(2)、(3)で抗体価の上昇および維持が認められた。(4)Freund's adjuvantに代わるものは認められなかった。 以上のように、GnRHによる免疫学的避妊には、C-GnRH注射とC-GnRH移植剤の併用によって、避妊期間をコントロールできる可能性が示唆された。しかし、臨床応用には抗体価の上昇のための炎症の少ないadjuvantの開発が必要である。
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