研究課題/領域番号 |
09460150
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
豊水 正昭 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80180199)
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研究分担者 |
中井 裕 東北大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (80155655)
中村 恵江 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (10005613)
渡辺 剛志 新潟大学, 農学部, 教授 (10201203)
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キーワード | スピルリナ / 外来遺伝子 / エレクトロポレーション法 / CAT遺伝子 / 相同組換え / 飼料資源 |
研究概要 |
Spirulina plantensis(スピルリナ)は光合成による高い生産能力を有する可食藍藻である。申請者らは形質転換スピルリナを新規飼料添加物として利用することを目指し、すでに、エレクトロポレーション法を用いた形質転換スピルリナの作出のための最適条件を明らかにしている。そこで本年度では、細胞内で安定的に複製・保持される導入ベクターを検索するため、広宿主領域プラスミドを含む5種のプラスミドを導入し、加えて相同組換えを利用したゲノムDNAへのCAT遺伝子の組込みを試みた。さらに、工業的に生産されたスピルリナを添加した飼料をブロイラーヒナに給与し成長判定を行った。まず、細胞内で自律的複製が可能なプラスミドを検索するため、広宿主領域プラスミドpSTV28、pRK290、pMMB208および、pRL6、およびpUC系ベクターpHSG399の、計5種の環状プラスミドをスピルリナに導入したところ、導入後21日に、これらのうち3つの導入区で抗生物質耐性株の生育が観察され、さらにサザンブロットとCATアッセイにより、導入遺伝子の存在と発現が確認された。次に、導入遺伝子を相同組換えにより直接ゲノムに組み込むため、スピルリナゲノムからPCRにより増幅した16srRNA遺伝子配列をpHSG399プラスミドに挿入し、これをスピルリナに導入したところ、21日では相同組換え区において良好な抗生物質耐性株の生育が観察された。さらに、CATアッセイにより、導入遺伝子の発現が確認され、サザンブロットの結果、ゲノムDNAにCAT遺伝子が含まれている可能性が考えられた。今後さらなる確証を得るためさらに検討する必要がある。最後に、工業的に生産されたスピルリナを添加した飼料をブロイラーヒナに給与したところ、粉末スピルリナ添加区4,8%添加区で、若干増体重は低下する傾向にあったものの、ムネ肉・ササミ・モモ肉などの色調がスピルリナの給与により改善された。したがって、スピルリナが飼料資源、特にタンパク質源としての栄養価が高く、鶏肉の品質を向上させうることが確かめられた。
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