この研究は、マメ科植物の共生的窒素固定に係わる遺伝子群を植物と根粒菌(茎粒菌も含む)の双方で分離および構造解析を行い、最終的には非マメ科栽培植物に根粒形成能を付与し、窒素固定能を付けさせることが目的である。この研究は平成9年度から開始した3年計画の研究である。研究の1つとして根粒形成時に植物で発現される遺伝子の取得を行っている。昨年はセスバニアの根粒形成の初期に発現される遺伝子であるenod40を分離し、これが4種存在することを示した。4つのenod40が1つの植物で見いだされたことはこれまで報告がなく、新しい発見であった。今年度はenod40については、全長のクローン化を行い、発現の時期などを調べた。また、新たにenod12を分離し、この遺伝子についても全長を取得後ノーザン解析を行い、根粒形成時に発現されることを確認した。さらに、これらの遺伝子以外で、根粒形成時に発現誘導されるその他の遺伝子としてカルシウム依存性プロテインキナーゼ(CDPK)、薬剤耐性遺伝子、ストレス耐性遺伝子などを取得し、これらの発現についても調査中である。これらの遺伝子のうちCDPKは多くの相同遺伝子が分離され、これらのうちでどれが根粒形成時に発現制御を受けるか興味が持たれる。研究の第2のテーマとして、ミヤコグサの遺伝子導入系の確立も目指しているが、今年度はGUS遺伝子をマーカーとしてIn planta遺伝子導入を試みた。また、第3のテーマとして培養細胞による遺伝子応答の研究も行っており、セスバニアの培養細胞系を確立しつつある。
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