研究課題/領域番号 |
09460153
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
立木 隆 立命館大学, 理工学部, 教授 (60026573)
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研究分担者 |
森崎 久雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (50125671)
今村 信孝 立命館大学, 理工学部, 助教授 (10160061)
深海 浩 立命館大学, 理工学部, 教授 (60026531)
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キーワード | 琵琶湖藻類 / 水圏環境保全 / 担子菌生育促進物質 / Microcystis uiridis / アオコ抑制物質 / バイオフィルム |
研究概要 |
琵琶湖水圏の藻類や微生物群を生物資源として利用することと、それに関わる生態系の解析を行う。1. 微生物による琵琶湖バイオマスの高付加価値化 (1) 藻類の担子菌生育促進物質: 昨年度見出した、ササバモ抽出液のスエヒロタケに対する生育促進効果は、数種の食用キノコの場合でも認められた。コカナダモの抽出液にも同様の効果があった。本促進因子は、熱に安定な有機低分子物質であり、活性炭や陰イオン交換樹脂に吸脱着する。 (2) 有用物質の生産: 食用キノコ収穫後の藻類菌床から、数種の有機酸や有用酵素を抽出できる。2. 琵琶湖バイオマスの化学生態学 (1) アオコ原因生物Microcystisと他種生物の相互作用: (1)Microcystisの増殖を抑制する細菌の多くは、Microcystisの代謝産物により増殖が促進される。(2)細菌によるMicrocystisの増殖抑制は、菌種によって発現時期が異なる。(3)抑制効果の最も強いEnterobacter sp.の産生物質は、水溶性で分子量は3千以下である。複数の成分を含む部分精製物は、31ng/mlでM.viridisの増殖を特異的に阻害した。(4)ミジンコは、Microcystis細胞内の少なくとも4種の毒性物質と、その培養上清中の摂食阻害物質によって、致死的影響を受ける。 (2) 琵琶湖微生物叢と細菌の付着現象: (1)北湖と南湖の底泥微生物相は、少なくとも数年間は安定と思われる。(2)湖岸定点水中の石の表面上の「ぬめり」(bio-film)には、湖水とは異なる細菌が、10^3〜10^4倍以上の密度で存在し、その構成菌は北湖と南湖では若干異なる。(3)Microcystisの細胞群を包んでアオコを形成する粘質物質中に、湖水中とは異なる細菌が10^2〜10^3倍の密度で共在しており、そのいくつかはMicrocystisの増殖を促進した。
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