研究概要 |
まず、精子成熟の分子機構を明らかにすることを目的として,コレステロール結合タンパク質について解析した。コレステロール結合タンパク質が精巣上体だけでなく輸卵管上皮細胞でも分泌されており,精子膜上のコレステロール再構成によって2段階の精子受精能獲得に関与していることが明確となった。また,精子アクロソーム反応や精子透明帯通過,および精子と卵の融合の際に制御される精子機能を明らかにする目的で研究を行い,これらの諸過程で機能すると考えられるセリンプロテアーゼを固定することができた。このプロテアーゼは,ADAM2や3,さらにヒアルロニダーゼをはじめとするGPIアンカータンパク質と同様に,精子細胞膜マイクロドメインに多量に含まれていることが明らかとなった。さらに,アクロシン欠損マウス精子の解析から,このセリンプロテアーゼはアクロシンによって部分的に活性化を受けることも明確となった。興味深いことに,ラットやハムスター精子ではこのプロテアーゼに相当するものが見いだせないため,それがマウス特異的に存在している可能性が見いだされた。現在、受精に関与する各種精子タンパク質欠損マウスの解析を行っている。
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