研究概要 |
受精での精子機能を明らかにするために,発生工学的手法を用いて研究を行い以下のような成果を得た。 1)アクロシン失損マウスを作製して,その生体内機能の解析を行った。卵透明帯への精子結合能には変化が見い出せなかったが,精子アクロソーム反応の際にアクロソームタンパク質の放出が顕著に遅れていることが判明した。アクロシンはアクロソームからのタンパク質放出の助長であると結論した。 2)アクロソームに含まれる精子の卵透明帯通過に関与する新規セリン系プロテーゼの探索を行い,4種類のプロテアーゼ遺伝子を同定・単離することができた。 3)アクロシン遺伝子ののプロモーター領域を用いてクラゲ由来のグリーン蛍光タンパク質が精子だけで発現しているトランスジェニックマウスを作製し,非破壊的にその精子の挙動を調べた。アクロソーム内容物の大部分が僅か3秒ほどで放出されることが明らかとなった。 4)精子成熟を明らかにする目的でコレステロール結合タンパク質について解析し,精子膜上のコレステロール再構成によって2段階の精子受精能獲得に関与していることが明確となった。
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