研究課題/領域番号 |
09460156
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
阪井 康能 京都大学, 大学院・農学研究科, 助教授 (60202082)
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研究分担者 |
村田 昌之 岡崎国立共同研究機構, 生理学研究所, 助教授 (50212254)
由里本 博也 京都大学, 大学院・農学研究科, 助手 (00283648)
加藤 暢夫 京都大学, 大学院・農学研究科, 教授 (50026556)
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キーワード | メタノール資化性酵母 / 異種遺伝子発現系 / Candida boidinii / 細胞内タンパク質輸送工学 / オルガネラ / ペルオキシソーム |
研究概要 |
ペルオキシソームへのタンパク質積機機構を解明する目的の一環として、特にペルオキシソームへの輸送シグナルがPTS1タイプに属する経路についての研究を行った。すなわちPTS1レセプター遺伝子をクローニングし、いくつかのペルオキシソーム輸送シグナルとの相互作用と輸送効率について検討した。すると、輸送シグナルのレセプターへの結合効率が、輸送効率を決定している因子であることがわかった。一方、PTS1経路で輸送されるペルオキシソーム酵素であるジヒドロキシアセトンシンターゼの輸送とフォールディングに関わるPmp47について解析したところ、Pmp47がATPをペルオキシソーム内に輸送する輸送体であることを示した上で、オルガネラ内ATPが、ペルオキシソームの分裂に必要であることも明らかにした。 一方、上で得た情報をもとに、ソーティング・エンジニアリングを利用した有用タンパク質生産を示すためのモデルタンパク質として、大腸菌での発現では毒性の高かったフルクトシルアミノ酸オキシダーゼ(FLOD)の生産について、メタノール資化性酵母Candida boidinilを用いて検討した。本酵素は糖尿病診断に有効でその大量生産について、メタノール資化性酵母Candida boidiniiを用いた検討した。本酵素は糖尿病診断に有効でその大量生産が嘱望されている。また、カビ細胞内ではペルオキシソームに局在することが明らかとなったので、本酵素をメタノール資化性酵母のペルオキシソーム内で生産することを目的として検討した。その結果、菌体内タンパク質の20%近くのFLODをペルオキシソーム内に生産することが可能になった。本成果は、本申請者が本提案書において初めて提唱した「ソーティング・エンジニアリング」という概念を駆使することによって初めて可能となった技術である。すなわち、毒性タンパク質を細胞内膜の仕切りの中に効率よく集積させるための一般的遺伝子発現技術であり、現在、さらに他の有用毒性タンパク質の生産についても検討を重ねている。
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