研究概要 |
1。 虹彩およびその周辺組織に対する単クローン抗体の作成。 ニワトリ眼球より、虹彩および毛様体を含む組織を切り出し、我々の研究室で行われている方法(Exp EyeRes,67,1998)により単クローン抗体を作成した。分離された抗体は多岐に亘り、得られた抗体の染色パターンから14種類に分類した。このうち、9個の単クローン抗体産生細胞系を樹立し、現在解析を進めている。 2。 虹彩の血管に関する概観。 虹彩中の血管は大部分が細動脈、細静脈および毛細血管であるが、毛細血管が最も頻在する。毛細血管の内皮細胞は無窓性で、内皮細胞間は密着帯で閉じられている。内皮細胞の周囲を厚い基底膜が囲み、その外周には膠原線維がよく発達していることが特徴である。 3。 サル毛様体筋および虹彩における毛細血管透過性について。 毛様体筋中の毛細血管は毛様体突起中のものとは異なり、無窓性である。この部分を虹彩内皮細胞に対する対照として用い、無窓性血管での西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)の透過性を検討した。 その結果、前眼房をHRPで潅流すると、15分で虹彩実質、毛細血管内皮細胞体、血管内腔にHRPが出現する。これに反し、静脈中に投与されたHRPは30分経っても血管内腔および細胞体にのみ留まっていた。この所見は現在までの報告と一致するものであった。
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