内在性レクチンのうち、とりわけガレクチンを中心に組織細胞化学的に検討した。ガレクチンはガラクトースに特異的な動物レクチンであり、細胞膜は細胞間基質にあって糖の関与する様々な接着反応や各種の情報伝達に関与するとされる。16-kDaガレクチンは、線虫の消化管の開口部、後頭部上皮と微繊毛の細胞膜、および消化管上皮細胞膜などに見出された。一方、32-kDaかレクチンは、これらの部位に加えてクチクラ層直下の皮下細胞膜状にも観察された。カレクチンはニワトリ肺では皮膚の細胞膜やデスモゾーム領域にも見出されており、さらに発生過程に応じて、肝、筋、腸などの各臓器に発現することを確認した。一方、ヒト腎では、ガレクチン-1とガレクチン-3とは、その局在性が異なっていた。即ち、ガレクチン-1は主に糸球体及び尿細管間質に存在し、一方、ガレクチンー3は主に遠位尿細管と集合管に局在することが確認された。また、ガレクチンの局在は同じ種類の細胞においても発現している場合と、そうでない場合があり、cell cycleによっても発現が変化すると推測された。 内在性レクチンの組織細胞化学的検討に関連して、外来性レクチンの広範囲にわたる適用、糖鎖や糖転移酵素の性状や分布・局在の検索、並びに画像処理に努めた。
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