研究概要 |
骨格筋の横行小管(T管)に存在するL型Caチャネル(DHPR)/電位センサーからRyRへの情報伝達の分子機序の解明は筋収縮の分子機序を知る上で、必須であるが、まだ解っていない。本研究はSH基標識用ビオチン-streptavidin結合反応を利用し、この点を2つの手段(skinned fiberとDHPRを含む膜分画)で検証することである。 1。骨格筋線維による実験;足筋より単離した単一筋繊維にstreptavidinを投与し、筋収縮に影響するか否かを調べた。1,10,40μMのstreptavidinを投与し電気刺激により筋収縮(Twitch,Tetanus)の大きさ、立ち上がり速度、収縮時間に対するstreptavidin投与後の時間及び濃度による変化を観察した。少なくとも40μMまでのstreptavidinは何の影響も与えなかった。従って、streptavidinは本研究に使用しうることが判明した。 2。Skinned fiberによる実験;ラット筋繊維をClイオンをmethanesulfonic acidに置き換えた高K-Krebs液中に浸し、濾紙で溶液を吸い取った後、流動パラフィン中で、27ゲージの注射針で表面膜を除去し、skinned fiberを作製した。この標本をNa-Krebs液に交換して、T管膜を化学的に脱分極し、SRからのCaイオンの遊離を張力として観察した。20〜30回の収縮の観察が可能であった。本方法を用い、来年度streptoavidinをT管中に封入し、SH基標識用ビオチンで細胞内からSH基をラベルし、SH基が細胞質側からT管腔側に移動し、streptavidinと結合することにより、次の脱分極に応答するDHPRの構造変化を抑制するか否かをチェックする。 3.チャネル電流の測定;本研究で購入したパッチクランプ用増幅器(Axopatch 1D)をセットし、Ca-releaseチャネル電流の測定を試み、正常に稼動することを確認した。
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