研究課題/領域番号 |
09470016
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
彼末 一之 大阪大学, 医学部, 教授 (50127213)
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研究分担者 |
永島 計 大阪大学, 医学部, 助手 (40275194)
大和谷 厚 大阪大学, 医学部, 教授 (30116123)
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キーワード | 視床下部 / 体温調節 / 自律分散システム / 非ふるえ熱産生 / 皮膚血管運動 |
研究概要 |
恒温動物の体温は多くの効果器系を動員して調節される.しかし体温調節に関係した神経回路網は全くと言って良いほど不明であり、これが他の自律機能の研究に比べて体温調節の研究が遅れている原因となっている.視床下部特に視束前野は体温調節の最高位中枢として温度情報の"統合"を行い、特に局所加温で活動が変化する温度感受性ニューロンが重要であると漠然と考えられている.申請者らは最近視束前野は個々の効果器反応を調節する独立な神経モジュールの集まりであるという仮説を提案した.前年度までに視床下部内ではふるえの調節には後視床下部が重要であり、また非ふるえ熱産生には膜内側核、背内側核の重要性を明らかにした.そこで本年度は中脳において非ふるえ熱産生がどのような調節を受けるかを検討した.すでに赤核近傍には非ふるえ熱産生を抑制する機構のあることは知られているが、同時に促進系があるか否かは不明である.そこで中脳の種々の部位に興奮性アミノ酸であるD,L-ホモシステイン酸(DLH)を投与してその時の肩胛骨褐色脂肪組織(BAT)の温度変化を観察した.その結果中脳中心灰白質腹則部の特に尾側部にDLH投与でBATの熱産生が促進する部位のあることが明らかになった.また最近非ふるえ熱産生調節に関係していると示唆されている延髄縫線核に逆行性のトレーサーのコレラトキシンBを注入すると中脳中心灰白質にラベルされる細胞が見いだされた.中脳の促進部位からは延髄の縫線核を経由して非ふるえ熱産生調節が働いていると示唆される.
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