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1997 年度 実績報告書

神経-グリア複合体としての視交差上核の時計機構

研究課題

研究課題/領域番号 09470018
研究機関早稲田大学

研究代表者

柴田 重信  早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10162629)

研究分担者 池田 真之  早稲田大学, 人間総合研究センター, 助手 (10288053)
キーワード視交叉上核 / サーカディアンリズム / グリア / GFAP / ノックアウトマウス / 同調 / 生物時計 / 体内時計
研究概要

サーカディアンリズム(概日リズム)は約24時間周期のリズム現象であり、原核生物のシアノバクテリアからヒトに至るまで生物界に普遍的に見られる基本的な生命現象である。この約24時間変動は非常に安定しており周期間の誤差は約1%と少ない。哺乳動物のサーカディアンリズムを支配する体内時計が視交差上核に存在することは、破壊、培養、移植等の研究から明らかにされている。しかしながら、視交差上核の体内時計を作り上げている物質基盤、分子機構ならびに核内神経回路網などは実際のところ殆ど分かっていない。この研究の困難さは、約1万個の神経細胞から成り立つが、GFAP染色が際だって高いことから分かるようにグリア細胞も豊富に存在し、この神経核は神経細胞とグリア細胞が高密度の局所的な細胞間コミュニ-ケーション社会を形成しているからであろうと考えられている。そこで、視交差上核における体内時計の発振機構と同調機構を取り上げ「神経-グリア複合体」としての視交差上核という観点からの研究を進める。本年度は、グリア細胞の骨格タンパクであるGFAPのノックアウトマウス(京都大、糸原重美)を用いた研究から、以下の点が明らかとなった。コントロールのワイルドマウスならびにミュータントマウスの自発運動量サーカディアンリズムを指標にした。光による同調がこれらノックアウト動物ではどのように変化しているか調べた。その結果、光パルスによる同調はGFAPの欠損でも全く影響されなかったが、恒常明飼育によるフリーラン周期は対照群に比較してもノックアウト群は有意に長く、また途中で行動のサーカディアンリズムが消失する例が多かった。以上、GFAP欠損により、長時間の光照射の影響がより強力に出現することから、GFAPが視神経の伝達物質であるグルタメートの代謝に影響を及ぼすことによって、サーカディアンリズム機構を正常に保っているものと考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Shigeyoshi Y.: "Light-induced resetting of a mammalian Circadian clock is associated with period induction of the mper1 transcript" Cell. 91. 1043-1053 (1997)

  • [文献書誌] 柴田重信: "記憶と生物時計" 科学. 68. 160-163 (1998)

  • [文献書誌] 柴田重信: "光とメラトニン" ファルマシア. 34. 45-49 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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