研究概要 |
リアノジン受容体は興奮性細胞に広く分布する細胞内カルシウムチャネルであり、細胞活性化に伴う細胞内カルシウム動員機構に重要な寄与をすると考えられる。しかしながら、3種存在するリアノジン受容体の生理的存在意義やリアノジン受容体一次構造中の分子内機能部位に関する知見に乏しく、その解析が急務である。また一方、リアノジン受容体は細胞内存在部位がその生理機能に重要であると様々な実験より示峻されており、特に骨格筋におけるリアノジン受容体の存在部位である三つ組構造の分子構築も注目される。本研究では上記の(i)リアノジン受容体の生理機能と(ii)分子内機能部位、(iii)骨格筋三つ組構造の分子構築の3点を重点課題として、リアノジン受容体の機能と分子構造に迫ることを目的とした。以下に平成10年度に明らかにされた研究結果を記述する。 我々は1型と3型リアノジン受容体ノックアウトマウスの作製を行いある程度の解析結果を論文報告しているが、(i)の課題として2型リアノジン受容体ノックアウトマウスの作製と解析を行った。2型リアノジン受容体ノックアウトマウスは胎生10日頃に心筋細胞の細胞内カルシウムストアの形態異常を呈し死亡する。この事実から、2型リアノジン受容体は発達中の心筋細胞においては、細胞内ストアのカルシウム濃度調節に必須であることが示された。 我々は米国の研究グループと共同で、(ii)の課題としてリアノジン受容体の分子内に存在するチャネル不活性化に関与するカルシウム結合部位の同定を行った。1型リアノジン受容体の分子内に存在するD3部位と呼ばれる領域が少なくとも不活性化カルシウムの結合部位の一部であることが明らかにされた。 (iii)の課題として、骨格筋三つ組構造中の新規膜蛋白質の同定を行った。mitsugumin29,mitsugumin23と名付けた新規膜蛋白を単クローン抗体により同定し、cDNAクローニングによりそれぞれの一次構造を明らかにし、併せて組織分布なども解析した。現在、ノックアウトマウスの作製による機能の解析を行っており、三つ組構造の構築への寄与などを明らかにできるものと期待される。
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