研究課題/領域番号 |
09470024
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
笹 征史 広島大学, 医学部, 教授 (20025654)
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研究分担者 |
芹川 忠夫 京都大学, 医学研究科, 教授 (30025655)
松林 弘明 広島大学, 医学部, 講師 (60165850)
石原 熊寿 広島大学, 医学部, 講師 (20212912)
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キーワード | 自然発症てんかんラット(SER) / カルシウムチャネル / カルシウム電流 / ホールセルパッチクランプ / Fura2-AM / カルシウム流入 / トピラメート |
研究概要 |
自然発症てんかんラット(SER:zi/zi,tm/tm)は強直性けいれんと欠神様発作の両発作を起こす。本動物を用い、次の研究を行った。 1. SER海馬単離細胞を用いたパッチクランプ法による研究: 海馬CA3野錐体細胞を単離し、ホールセルパッチクランプ法による研究を行った。すなわち、TTXにてNa^+チャネルをブロックし、CS^+にてK^+チャネルをブロックした状態で細胞内に脱分極パルスをあたえることによりCa^<2+>電流を計測した。発作発現前(生後4〜7週令)のSERにおいては発作を発現しないウイスターラットの場合と同様の電位ム電流曲線が得られた。その閾値(45mV)に差が認められなかった。一方、発作を発現したSER(11〜14週令)では電位一電流曲線からCa^<2+>チャネルの開放閾値は低下(-55mV)していることが判明した。 2. SER海馬スライス標本におけるCa^<2+>動態の研究: Fura2-AMを負荷し、高K^+にて脱分極させた時の細胞内へのCa^<2+>流入を計測した。発作を発現していないウイスターラット海馬では40nM以上のK^+負荷によりCA1〜CA3野に用量依存的Ca^<2+>流入が認められた。一方、発作を発現しているSERの海馬では10mMK^+負荷により、Ca^<2+>の流入が認められ、CA3細胞に対照動物よりも有意に多い流入が観察された。 以上の2つの実験からSER海馬CA3野細胞のCa^<2+>チャネルの開放閾値が低下し、かつその開放頻度が恐らく増加することにより、本細胞が異常興奮を示すと考えられた。 3. 新規抗てんかん薬トピラメートの作用メカニズム: 海馬スライス標本およびCA3単離細胞を用い検討した。この結果トピラメートは苔状線維からCA3錐体細胞へのグルタミン酸遊離を抑制し、大量ではグルタミン酸レセプターを抑制することにより、抗てんかん作用を示すことが明らかにされた。
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