研究課題/領域番号 |
09470031
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
片岡 徹 神戸大学, 医学部, 教授 (40144472)
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研究分担者 |
胡 長灯 神戸大学, 医学部, 助手 (70294204)
岡田 知代 神戸大学, 医学部, 助手 (80294205)
片岡 有理子 神戸大学, 医学部, 助手 (50233739)
苅谷 研一 神戸大学, 医学部, 助教授 (40263371)
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キーワード | Ras癌遺伝子 / 翻訳後修飾 / ファルネシル化 / GTP結合蛋白質 / アデニル酸シクラーゼ / シクラーゼ結合蛋白質 / raf癌遺伝子 / rap1A癌抑制遺伝子 |
研究概要 |
1,出芽酵母アデニル酸シクラーゼ結合蛋白質CAPのアミノ末端36アミノ酸の領域に、Rasが翻訳後修飾(ファルネシル化)依存性に結合することを証明した。この結合の生理的意義を遺伝学的に検証した。具体的には、CAPにランダムに変異を導入し、変異体プールの中から、生理的機能を失っているが、シクラーゼとの結合能力は保持している変異体をスクリーニングし、1つ得た。この変異体CAPの翻訳後修飾を受けたRasとの結合能力を調べたところ、殆ど失われていた。さらに、この変異体CAPを結合したアデニル酸シクラーゼは、翻訳後修飾を受けたRasによっても活性化されなかった。この結果は、CAPの生理的機能と翻訳後修飾を受けたRasとの結合との間の密接な連関を示し、CAPが翻訳後修飾を受けたRasの受容体であることを示した。エフェクター活性化において、Rasの翻訳後修飾が必須である分子機構が初めて解明された。さらに、変異が導入されたアミノ酸残基の位置から、両者の結合認識機構を予測した。 2,我々が発見したRafのcysteine-rich領域とRasとの間の翻訳後修飾(ファルネシル化)依存性の結合の認識機構と意義をさらに解析した。化学的にファルネシル化したRasのC末端対応合成ペプチドを用いて、本結合に際してファルネシル基が認識されていることを証明した。また、上記相互作用機構に基づき、がん抑制遺伝子産物Rap1A (Krev-1)のRaf-1およびB-Rafに対する相反する作用の分子機構を解明した。さらに、その作用のプロテインキナーゼAによるRap1Aの燐酸化による調節機構を見い出した。 3,Rasの新規エフェクターと考えられるフォスファチジルイノシトール特異的フォスフォリパーゼCwo発見し、Rasによる調節機構と翻訳後修飾の役割を解析中である。
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