研究概要 |
我々は多ぐのサイトカインによって共通に転写誘導される遺伝子としてSH2ドメインを有する新規遺伝子CIS(cytokine inducible SH2-protein)をクローニングした。さらに酵母two-hybtidsystemによってJAK2のキナーゼドメインと直接結合しそのキナーゼ活性を抑制する分子JAB(JAK-binding protein)を見い出した。JABは構造的にCISに類似した分子であった。さらにデータベ=ス検索の結果CISファミリーの存在が明らかとなり現在7つの遺伝子をグローニングした。これらのうちJABとCIS3はJAK2のチロシンキナーゼドメインに直接結合し、その活性を抑制する.ことを見い出した。いくつかのサイトカインを調べたところほとんどあらゆる細胞でJABはインターフェロンγによって強く誘導され、.インターフェロンシグナルの調節に関与することが示唆された。いくつかのインターフェロン耐性株ではJABの高発現がみられ、臨床的にも興味ある知見と考えられる。JABおよびCIS3のJAKシグナル抑制の,分子機構を明らかにするために欠失変異や両者で保存されているアミノ酸に様々な点変異を導入し構造活性相関を行った。JAB,CIS3のSH2ドメインはJAK2のactivation loopに存在するY1007にSH2ドメインを介して結合することを見い出した。しかしJAK活性化抑制にはSH2ドメインに近接したアミノ酸約12個の部分が必須であり、この部分はJAB,CIS3でよく保存されている。この領域をキナーゼ阻害領域と名付けた。またこのN末端部分がないとJAKへめ結合力が極端に落ちることからJAB,CIS3はSH2ドメインでactivation loopと、,さらにN末端部分でJAKの活性中心に結合していると考えられる。がんで重要な働きをするチロシンキナーゼの阻害因子の分子機構が明らかにされた意義は大きい。またJAK2の新しい基質となりうる分子APS(adaptor containing PH and SH2 domain)をクローニングしたが本分子はc-Cblがん遺伝子と結合してSTATの活性化を抑制することを明らかにした。
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