染色体相互転座t(1;11)(q23;p15)を示すヒト急性骨髄性白血病(AML)症例において、染色休転座切断点を同定してnucleoporin遺伝子NUP98がホメオボックス遺伝子PMX1と融合することを明らかにした。この遺伝子融合の結果N端側にNUP98のGLFGモチーフを、C端側にPMX1のホメオドメインを有する融合蛋白が形成され、その構造は、先にt(7;11)(p15;p15)AMLにおいて発見したキメラ蛋白NUP98/HOXA9と類似していた。融合蛋白において保たれているNUP98のN端側には、転写活性化領域が存在しており、融合蛋白NUP98/PMX1及びNUP98/HOXA9は転写活性化因子となることが示された。 昨年度にMeis-1のDNA binding siteを同定し、MeisとPbxがcooperative bindingを示すことが明らかとなったが、本年度はホメオボックス蛋白の相互作用についてさらに研究を進めた。まず、マウス骨髄単球細胞株WEHI-3Bでは、HOxB8とMeis2の強いco-expressionが存在することを認めた。また、Pbx-Hox-DNA complexに対してMeis蛋白がassociateすることを明らかにした。一方、白血病細胞においては、Pbx/Meisがmajor complexとしてDNAに結合していることが示唆された。 このようなホメオボックス蛋白の白血病細胞内における標的遺伝子を効率良く同定するシステムの作製を開始した。DNAにcrosslinkさせたホメオボックス蛋白を特異抗体によって分離し、結合しているDNA断片をGFP或いは1uciferaseをレポーターとして持つvectorに組み込んでライブラリーを作製し、このライブラリーとホメオボックス遺伝子とを細胞に導入してスクリーニングを行う方法を開発し、現在結果を検討中である。
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