研究概要 |
食細胞NADPHオキシダーゼは、食作用時に活性化され、スーパーオキシドを生成する。その活性化には、細胞質に存在するp47,p67、および低分子量Gタンパク質であるRacが細胞膜に移行して、酵素本体である膜貫通のシトクロムb_<558>と複合体を形成することが必要である。また、p40は食細胞において常にp67と会合しており、p47とも相互作用することが知られており、オキシダーゼ活性化の調節因子であると考えられている。 今年度は、オキシダーゼ活性化機構に関して、次のような成果を得た。 1. マウスp40とマウスp67のcDNAをクローニングし、マウスp40,p67,p47の機能およびタンパク質問相互作用を検討した。その結果、p67,p47,p40は、マウスとヒトの間で構造的、機能的によく保存されていること、またp40は海馬や小脳の神経細胞にも発現していることを見出した。 2. オキシダーゼの無細胞系での活性化には、アラキドン酸のような陰イオン性両親媒性物質が必要である。今回アラキドン酸を加えることなくオキシダーゼの活性化を起こすことができた。すなわち、p47のN末側SH3領域がunmaskされた状態となっている変異体は、シトクロムb_<558>のp22サブユニットへの結合とオキシダーゼの活性化をひき起こした。これらの結果は、p47のSH3領域が、活性化制御において重要な分子内相互作用をしていることを示している。このことはすでに我々が提出した活性化モデルを支持するものである。
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