食細胞NADPHオキシダーゼは、食菌時にスーパーオキシドを生成し、微生物に対する生体防御機構の中で、極めて重要な役割を果たす。本酵素の活性化には、酵素本体である細胞膜貫通型のシトクロームb_<558>と、細胞休止時には細胞質に存在するp47^<ph ox>、p67^<ph ox>及び低分子量G-蛋白質Racが会合し、複合体を形成することが必要である。慢性肉芽腫症はRacを除く上記因子の遺伝的障害が原因であり、患者は食細胞殺菌能の低下により重篤な感染症を反復する。各因子の中で、p67^<ph ox>のN末約200アミノ酸からなる領域はRacと結合することが示されているが、Rac/Cdc42の結合moduleであるCRIB motifは存在せず、詳細な構造的・機構的な解析は進んでいなかった。今回我々は、この領域内に4つのTPR(tetratricopeptide repeat)motifが存在することを見いだした。そこで、このmotifの重要性を明らかにする為、p67^<phox>N末領域の変異体を作成し、yeast two-hybrid法、精製蛋白質を使用したoverlay assayにてRac2との結合活性を、無細胞再構成系を用いてNADPHオキシダーゼ活性化能を検討した。その結果、p67^<ph ox>N末領域のTPRドメインはRacとの結合に必要であり、また4番目のTPRはRacとの結合には関与しないが、NADPHオキシダーゼ活性化には必須であると考えられた。
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