研究概要 |
これまでNADPHオキシダーゼの活性化機構について、Cell-free系を用いて主に細胞質因子p47,p67,p40,シトクロムb558の相互作用と活性化との相関関係を重点的に解析してきた。そして多くの成果を挙げることができたが、さらに本年度は、細胞質因子、特にp47やp67の構透変化を誘導する上流の情報伝達機構の解明をめざし、次の2つの実験を行った。 1)NADPHオキシダーゼの活性化への14・3・3タンパク質の関与 これまでに、多くの酵素やタンパク質が14・3・3タンパク質により制御されており、その場リン酸化・脱リン酸化が標的タンパク質との結合・解離に関わっていることが報告されている。我々はまず、すでに報告のあった14・3・3タンパク質の標的タンパク質と結合する領域内のコアペプチド(Serがリン酸化されたものとされていないものの両者)を合成した。次に、すでに我々が開発している電気穿孔したヒト好中球に合成した14・3・3タンパク質の部分ペプチドを細胞内に入れ、FMLPとPMA刺激時のスーパーオキシド生成への効果をみたところ、約70〜80%抑制した。このことは、14・3・3タンパク質がNADPHオキシダーゼの活性化に関わっていることを示唆しており、さらに検討を続けている。 2)サイトカラシンBのヒト好中球スーパーオキシド生成活性に対するpriming効果の解析 我々は、サイトカラシンBのpriming効果にはp38 MAPキナーゼの活性化の程度の上昇が重要であることを見出した。このことは、スーパーオキシド生成を誘導しないが、p38 MAPキナーゼを強く活性化するアニソマイシン処理により、priming様効果がみられたことからも支持された。
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