研究課題/領域番号 |
09470046
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
赤池 孝章 熊本大学, 医学部, 助教授 (20231798)
|
研究分担者 |
澤 智裕 熊本大学, 医学部, 助手 (30284756)
前田 浩 熊本大学, 医学部, 教授 (90004613)
|
研究期間 (年度) |
1997 – 1999
|
キーワード | フリーラジカル / NO / パーオキシナイトライト / 病原因子 / ウイルス感染病態 / NO消去剤 / viral evolution |
研究概要 |
ウイルス感染病態におけるNOとパーオキシナイトライト過剰生成を介した病原性発現メカニズムを明らかにするため、マウスインフルエンザウイルスおよびセンダイウイルス肺炎モデル、さらにラットおよびマウスの単純ヘルペスウイルス脳炎モデルを作製し、NO合成酵素(NOS)阻害剤やパーオキシナイトライト消去剤を用いた治療実験を行った。その結果、いずれのウイルス感染モデルにおいても、NOS阻害剤であるN^ω-monomethyl-L-arginineを投与することにより、生存率、臨床症状および病理組織所見の改善が認められた。同様に、パーオキシナイトライト消去剤であるエブセレンをインフルエンザウイルス肺炎モデルに投与することにより、有意な治療効果が確認された。さらに、誘導型(inducible)NOS(iNOS)欠損マウスを用いて、インフルエンザウイルス、センダイウイルスおよび単純ヘルペスウイルス(1型)感染系を作製したところ、これらすべての感染系で、iNOS欠損マウスは野生型マウスに比較して、病態が軽減しており、iNOS由来の過剰なNO生成が、ウイルス感染において病態生理活性を発現していることがわかった。 これらの研究に加えて、最終年度は、NOやパーオキシナイトライトによるウイルス遺伝子に対する変異原性について、GFP-SeVを用いて、in vitroおよびin vivoの系で解析を行ったところ、大変興味あることに、in vitroの系においてパーオキシナイトライトはウイルスに対して非常に強い変異原性を示した。さらにiNOS欠損マウスおよび野生マウスのGFP-SeV感染系において、野生マウスではiNOS欠損マウスの7倍程度高いウイルス遺伝子変異率が認められた。これらの知見は、ウイルス感染・炎症反応にともない過剰に産生されるNOやパーオキシナイトライトが、ウイルスの変異速度を高め、その分子進化に関与していることを示唆している。
|