研究課題/領域番号 |
09470052
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
恒吉 正澄 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (20091259)
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研究分担者 |
林 健志 九州大学, 遺伝実験情報施設, 教授 (00019671)
田宮 貞史 九州大学, 医療技術短期大学部, 講師 (60284486)
小田 義直 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (70291515)
福田 敏郎 福岡赤十字病院, 部長(研究職)
河内 茂人 山口大学, 医学部, 講師
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キーワード | 滑膜肉腫 / 軟部デスモイド腫瘍 / β-catenin / cyclin D1 / APC遺伝子 / ABI PRISM 7700 |
研究概要 |
近年、vitroでは核内蓄積β-cateninのAPC/β-catenin/Tcf-Lef pathwayを介する標的遺伝子としては様々なものが同定されてきているが、vivoでの報告はない。そこで、まずvivoでAPC/β-catenin/Tcf-Lef pathwayの良いモデルとなると考えられる軟部デスモイド腫瘍において、核内蓄積β-cateninと標的遺伝子の一つであるcyclin D1の過剰発現の関係を免疫組織化学的に調べところ、両者の間には統計学的に有為な正の相関関係が認められた。またβ-cateninの核内蓄積を認めない症例でも、β-cateninの遺伝子異常を示す症例はcyclin D1の過剰発現を示した(Saito T et al.J Pathol,in press)。さらに、前述した結果を支持するデータとして、デスモイド腫瘍の凍結材料を用いてABIPRISM7700によるcyclin D1およびβ-cateninのmRNA発現量の半定量を行ったところ、変異型β-cateninを持つ症例は野生型β-cateninを持つ症例に比べて、各々mRNAの発現量が高い傾向にあるという結果も得ている(Saito T et al.,submitted)。また、β-cateninの核内蓄積の原因となるAPC遺伝子の遺伝子異常を滑膜肉腫において検索したところ、約8%と稀であるが認められた(Saito T et al.,submitted)。以上の基礎実験を終了後、現在、滑膜肉腫における同様の実験を遂行中である。免疫組織化学の結果では核内蓄積β-cateninとcyclin D1の過剰発現はあまり一致してはいないが、mRNAの半定量も行い、転写レベルでの相関の有無を検討中である。
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