研究課題/領域番号 |
09470053
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐藤 榮一 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60004579)
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研究分担者 |
松下 能文 鹿児島大学, 医学部, 助手 (90244227)
米澤 傑 鹿児島大学, 医学部, 助教授 (10175002)
小澤 政之 鹿児島大学, 医学部, 教授 (90136854)
愛甲 孝 鹿児島大学, 医学部, 教授 (60117471)
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キーワード | 消化器癌 / ムチン / トロンボモジュリン |
研究概要 |
蛋白構造関連 (1)膵・肝内胆管の膨脹性発育腫瘍の浸潤性発育部位では、予後良好因子の分泌型ムチンであるMUC2(腸型ムチン)が消失し、予後不良因子のMUC1ムチンが発現することを発見した。 (2)膵・肝内胆管腫瘍において、MUC2と同じ分泌型ムチンであるMUC5ACの遺伝子発現を検索した結果、MUC5ACmRNAの発現は、膨脹性発育腫瘍では高率に陽性であったが、浸潤性発育腫瘍での陽性率は低く、MUC5ACもMUC2と同じく予後良好因子と思われた。 (3)高齢者胃癌と若年者胃癌のムチン抗原発現を比較した。前者では、DF3抗原の陽性率が後者より有意に高かった。生存率は若年者・高齢者ともに、DF3抗原陽性の症例がDF3陰性のものより有意に低かった。 (4)腺癌のみでなく、咽頭・喉頭、ならびに、食道の扁平上皮癌においても、膜結合型ムチンであるMUC1が優れた腫瘍マーカーとなることが明らかとなった。 糖鎖構造関連 (1)大腸癌培養細胞にBenzyl-GalNAcsideを加えて培養することにより、O-グリコシド結合糖鎖の合成阻害を確認した。更に、培養上清中に遊離した遊離糖鎖の解析に関しては、方法論の確立を試み、パラジウムカーボンを用いてベンジル基を開裂させて蛍光を付加した後、今回備品として購入したFACEシステムを用いて解析する新たな系を開発した。 (2)ヒト食道扁平上皮癌から得られた培養株(TE3)より分離・樹立したトロンボモジュリン(TM)の高発現株(TE3HTM)と低発現株(TE3LTM)を用いて、浸潤・転移研究を行った。両株の細胞形態及び増殖速度に差異は無いが、TE3LTMの方がより高い浸潤性を示した。TE3HTMでVEGFが、TE3LTMでGM-CSF、IL-1α、IL-6がより高い濃度を示し、また、TE3HTMの培養上清はより強くヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を活性化させた。TMはヒト扁平上皮癌の浸潤能、血管新生能、及び接着能に関与することが示唆された。
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