研究課題/領域番号 |
09470054
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
深山 正久 自治医科大学, 医学部, 教授 (70281293)
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研究分担者 |
斉藤 健 自治医科大学, 医学部, 教授 (00049040)
加納 紅代 自治医科大学, 医学部, 助手 (30285770)
藤井 丈士 自治医科大学, 医学部, 助手 (70228948)
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キーワード | 肺線維症 / 肺癌 / 線維化 / 発癌 / 遺伝子異常 |
研究概要 |
肺における線維化と発癌の関係を明らかにするため、以下2つの面から研究をすすめている。 1.特発性間質性肺炎・肺線維症(idiopathic interstitial pneumonia/pulmonary fibrosis;IIP/IPF)改変気腔上皮の遺伝子異常の分析:剖検肺を対象として、肺癌合併IIP/IPF(11例、全例喫煙歴あり)、肺癌非合併IIP/IPF(11例、8例に喫煙歴あり)の蜂窩肺部上皮を形態学的・免役組織学的に検討した。形態学的には、気管支上皮、細気管支またはII型肺胞上皮、扁平上皮化生の3種類の構成比を、免疫組織学的には各上皮のp53、MIB-1陽性細胞数を検討した。肺癌合併IIP/IPFの蜂窩肺部では肺癌非合併群に比し、扁平上皮化生の占める割合が有意に多く認められ(22±6vs5±1%、p<0.05)、喫煙歴を有するIIP/IPF群(5±1%)と比較しても有意な差が認められた(p<0.05)。また、各構成上皮ごとにp53およびMIB-1陽性率を比較したが、両群間に有意な差はなかった。今回、上皮性状の質的な差は明らかではなかったが、肺癌合併IIP/IPFで扁平上皮化生の比率が高く、量的な差が明らかであった。両群間に喫煙などの傷害に対する反応性の違いが存在している可能性がある。 IIP/IPF合併肺癌、通常肺癌における遺伝子異常の比較:最近同定された癌抑制遺伝子候補FHIT遺伝子異常について手術例を検討した。通常肺癌96病変(女29男66、喫煙:有63、無26、不明6)IIP/IPF合併肺癌6例(女2男4、喫煙有5、不明1)。肺癌組織からRNAを抽出、RT-PCRによりFHIT異常転写産物を検出、塩基配列を決定。異常転写産物は通常肺癌96病変中37病変に存在し、非喫煙者(5/26)に比し、喫煙者(28/63)に異常が多い。一方、IIP/IPF合併肺癌6例では2例に異常転写産物が認められた。HITモチーフをコードするexon8の有無で異常転写産物をI型、II型に分類すると、通常肺癌で25、12病変、IIP/IPF合併肺癌では各々1病変であった。FHIT遺伝子異常は両群に共通しておこる遺伝子異常である。
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