研究課題/領域番号 |
09470063
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
竹田 潤二 大阪大学, 医学部, 教授 (50163407)
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研究分担者 |
大石 一人 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (60273702)
小林 和人 奈良先端大, 遺伝子教育研究センター, 助教授 (90211903)
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キーワード | GPIアンカー / 組織特異的遺伝子破壊 / Cre / loxP / Pig-a / 致死性 |
研究概要 |
グリコシルフォスファチジルイノシトール(GPI)は、真核細胞膜に広く分布する糖脂質であり、GPI-アンカー型膜蛋白を細胞膜表面につなぎ止めるための必須の構造である。GPI-アンカー欠損は致死性であり、マウス個体発生におけるGPI-アンカー型蛋白の役割を組織特異的に遺伝子破壊ができるCre/loxPを利用し以下の3種類の組織で検討した。 1)Tリンパ球におけるGPIアンカー型蛋白の役割の検討。Pig-a遺伝子へのloxP部位挿入マウス(Piga-loxP)とLck-Creマウスを交配し、胸腺におけるTリンパ球の選択機構あるいは成熟Tリンパ球の活性化にGPIアンカー型蛋白がどのように関わっているかを解析した。その結果、驚いたことにGPIアンカー型蛋白陰性細胞も陽性細胞と同程度に選択機構あるいは成熟Tリンパ球の活性化が起こっていることが判明した。 2)GPIアンカー欠損個体の検討。発生のどの段階で致死かがわからないので、Piga-loxPマウスとhCMV-Creマウスを交配して検討した。hCMV-Creマウスは、A.Nagyから供与されたマウスで着床以前よりCreが発現しているといわれている。Pig-a遺伝子はX染色体上に存在するため雄マウスではほとんどすべての組織でGPIアンカーが陰性になるが、loxP部位が片方のX染色体に挿入された雌マウスはX染色体不活化機構のため、約半分の細胞がGPI-アンカー陰性になるはずである。雄個体では胎生8日で個体発生がストップしていた。一方、雌個体では発生がもっと進むが、頭部神経管不全によるオープンブレイン状態と上部口蓋形成不全がみられた。 3)表皮基底細胞特異的Cre発現トランスジェニックマウスの作成と表皮でのGPIアンカー型蛋白の役割の検討。ケラチンK5プロモーターは表皮基底細胞特異的な発現を規定する。K5-Creトランスジェニックマウスを作成しPiga-loxPマウスと交配した。交配したマウスにおいて、皮膚特異的にターゲット遺伝子であるPig-aに遺伝子破壊が認められ、しかも皮膚の角化異常が認められた。角化異常を起こした角層に、薄層クロマトで異常脂質の増加が認められた。
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