1)MHCクラスI分子への抗原ペプチドの提示は通常小胞体膜に局在するTAP(transporterassociated with antigen processing)を介して行われることが知られている。しかし、proteasomeからTAPにいたる過程は不明であった。我々は抗原ペプチドのあるものはhsc73と、強く会合し、しかもこれら抗原ペプチドはhsc73-TAPの会合を介して小胞体内に輸送されることを示した。また今年度の我々の研究はhsc73-TAPの会合がMeDSG等の人工ポリアミンで阻害されることにより、細胞内に大量に存在するポリアミンが、間接的に抗原ペプチドの小胞体内への輸送を制御している可能性を示唆した。この事は、免疫学的なエスケープ機構を新たに説明するもとして大変重要な実験事実と考えられた。 2)hsc73様の分子がH-ras癌遺伝子による形質転換の過程でラット線維芽細胞表面に発現するが、こも分子と反応するT細胞はラットT細胞レセプターVδ6を発現しているものであることが、T cell hybridomaを樹立することにより明らかとされた。
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