研究概要 |
1. 住血吸虫感染後肝線維症の感受性を決定するHLA-クラスIIアレルの解析 前年度までに、中国江西省の湖沼型住血吸虫侵淫地である南山島における住民のHLAタイヒングを行ない、抵抗性アレルであるHLA-DRB1^*1101,OPB1^*0201および感受性であるHLA-DRBF^*1501を有する患者のリストアップを完了した。タイピングを行なった対象者については、超音波診断も同時に行ない、玉山地区でのこれまでの結果と同様な傾向を得ることができた。今年度は、これらのアレルを有する患者より、末梢血リンパ球を分離し、虫体あるいは、虫卵抗原によるin vitro刺激後のIL-4,IFN-γ産生細胞数をELISPOT法により解析し、DR1101の患者では、特に虫卵に対するIL-4産生T細胞の増加、またDR1501(感受性)では虫体に対するIFN-γ産生細胞の増加する傾向が観察された。現在これらの患者よりT細胞株の樹立を試みている. 2. 再感染抵抗性とHLAとの関連について 南山での過去5年に亘る集団治療と虫卵検査の結果を解析し、高リスク集団として特に漁民を対象とした虫卵検査の結果を観察することにより、抵抗性の集団を決定することが可能であると考えられた。入手できたデータは、約200名分であるが、そのうち、上記の解析を行ない抵抗性を確認したのは約20名であった。現在、遺伝解析に耐えられる十分なサイズの新たな対象地区を検索中である。
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