研究課題/領域番号 |
09470072
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹内 勤 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051847)
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研究分担者 |
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70112688)
浅井 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (50175163)
田辺 将信 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80051928)
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キーワード | アメーバ / Entamoeba dispar / Entamoeba histolytica / 無菌培養 / システイン合成系 / 嚢子 / peroxiredoxin |
研究概要 |
Entamoeba disparおよびその感染について以下のような結果を得た。 (1)まずspider wort(ツユクサ)などの植物を破砕して得たクロロプラストの破砕液上清を添加すると良好な増殖が得られる事がまず明らかになったので、植物の代謝系に特徴的なiron-sulfur proteinであるフェレドキシン(spinach ferredoxin)を加え、その効果を見た。その結果フェレドキシン存在下でE.disparの増殖はきわめて安定しており、かつ増殖速度も最も高い事が明らかになった。すなわち今回の培養系によってE.disparを大量に培養し、蛋白レベルでの種々の実験に応用できる途が開かれた。今後広く応用されるものと考えられた。(2)今年度はL-cysteine合成の律速段階を触媒すると思われてきたserine acetyltransferase(SAT)をcodeする遺伝子をE.histolyticaからクローニングし、その性質を明らかにした。まず大腸菌を用いてGST組み替え蛋白として発現させ、Factor Xaで消化したのちに分離精製されたSATを得る事が出来た。その性質を生化学的に検討した結果、総cysteine量により調節されている事、などが明らかになった。またE.histolyticaにL-cysteine synthaseとSATを大量発現させて過酸化水素に対する抵抗性を検索した結果、前者において抵抗性が増加している事が判明した。E.disparのSATの遺伝子のクローニングにも成功し、全塩基配列を決定した。(3)Entamoeba invadensをモデルとして嚢子形成過程に生化学的な検索を行なった。(4)E.histoltyicaのperoxiredoxinに対するヒト型モノクロナル抗体のFab断片を組み替え蛋白として大量に産生する方法を確立した。(5)E.disparのperoxiredoxin遺伝子をクローニングし、その塩基配列を決定した。E.histolyticaのperoxiredoxin遺伝子と比較した結果、前者のN末端側にE.histoltyicaには存在しない10アミノ酸ならなる挿入配列を見出だした。これにより簡便な診断法が確立できた。
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