研究課題/領域番号 |
09470072
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
寄生虫学(含医用動物学)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹内 勤 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00051847)
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研究分担者 |
小林 正規 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70112688)
浅井 隆志 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (50175163)
田辺 将信 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (80051928)
野崎 智義 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (60198588)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | アメーバ症 / Entamoeba histolytica / Entamoeba dispar / 無菌培養 / 病原性 / 含硫アミノ酸代謝 |
研究概要 |
従来単一種とされていた赤痢アメーバが病原性のEntamoeba histolyticaと非病原性のEntamoeba disparと異なった二種に分けられてより、E. disarのもつ生物学的、臨床的な意義、疫学的な分布は早急に解決すべき問題として挙げられた。本研究はこの点を主題としている。研究の結果、以下に述べる成果を得た。(1)それまで極めて困難であったE. disparの無菌培養系の作成に高温、及び過酸化水素で処理され、生物活性を全く失ったCrithidia fasciculataを使用する事で成功した。(2)E. histolytica、E. disparの鑑別に有用なモノクロナル抗体を開発し、そのFab断片をも組み替え蛋白として作成できた。(3)両種のアメーバの生物学的な性状を明らかにするため、主に含硫アミノ酸代謝の生化学的、分子生物学的検討を行なった。まずATP sulfurylaseの遺伝子をE. histolyticaからクローニングし、組み替え蛋白を作成して性状を調べた。その結果この酵素はSynechocystis sp.の酵素などと相同性が高く、またE. disparからcysteine syntnaseの遺伝子のクローニングを行い、二種のisoformが存在し、何れも植物の酵素に類似していることを見いだした。更に両種アメーバよりcysteine合成系の調節酵素であるserine acetyltransferaseの遺伝子をクローニングして性状を比較検討した。これらの一連の研究によりアメーバには真核細胞として初めてcyteineの合成経路が存在しており、アメーバの酵素は種々の細菌や植物の酵素と類似していることが判明した。また両種アメーバの間にも塩基組成の差が見られた。(4)E. histolytica、E. invadensをモデルとして種々の阻害剤が増殖その他に影響を及ぼすかどうか検討し、dinitroaniline系化合物やcytochalasin Dが発育阻害や嚢子形成阻害を起こすことを見いだした。(5)各種施設の感染者から分離したアメーバの同定を行ない、無症状であるにもかかわらず、E. histolytica感染が多い事を見いだした。
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