研究概要 |
(1) 上皮細胞に結合するEBウイルス糖蛋白の同定 上皮細胞に発現するEBウイルスレセプターに結合するウイルス側のリガンドの同定を行なった。EBウイルス粒子上の糖蛋白gp350,gp25とヒトIgG1のFc部分とのキメラ蛋白gp350-Igおよびgp25-Igを作製した。gp350はB細胞に発現しているEBウィルスレセプターCD21に結合することが知られている。作製したgp350-Igキメラ蛋白は、予想どおりB細胞株に強く結合した。しかし、EBウイルス感受性の上皮細胞株NU-GC-3,HepG2,AGSには全く結合しなかった。一方、gp25-Igキメラ蛋白はB細胞株にはほとんど結合せず、EBウイルス感受性の上皮細胞株に強く結合した。さらに、EBウイルスの上皮細胞への結合はgp25-Igキメラ蛋白により阻害された。これらの結果から、上皮細胞に発現するEBウイルスレセプターに結合するウイルス側のリガンドはgp25であることを明らかにした。 (2) 上皮細胞に発現するgp25結合蛋白(EBウイルスレセプター)のクローニング gp25-Igキメラ蛋白をプローブとして、上皮細胞に発現するgp25結合蛋白の検出を行なった。ウエスト-ウエスタン法および免疫沈降法により、分子量約80KDaのgp25結合蛋白を同定した。現在、この蛋白の部分アミノ酸配列を決定中である。得られた部分アミノ酸配列から、この蛋白の全長cDNAのクローニングを行ない、EBウイルスレセプター遺伝子のクローニングを完成させる。
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