研究課題/領域番号 |
09470081
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
斎藤 泉 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (70158913)
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研究分担者 |
金子 周一 金沢大学, 医学部, 助教授 (60185923)
鐘ヶ江 裕美 東京大学, 医科学研究所, 助手 (80251453)
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キーワード | Cre / アデノウイルス / 遺伝子治療 / ベクター / 特異的プロモーター |
研究概要 |
遺伝子治療において発現を厳密に制御する系を確立することは、安全性の面から最も重要な課題であると考えられる。特に自殺遺伝子を用いた癌の遺伝子治療では、癌細胞特異的な自殺遺伝子の発現が必須である。昨年度の本研究で、組換え酵素Cre/loxP系による発現のON/OFF制御系と癌特異的プロモーターを併用することによる癌細胞特異的な発現を確認した。本年度は、その方法を用いて癌細胞特異的に自殺遺伝子を発現する方法をin vitroとin vivoで行い、安全性・有効性両面から検討を加えた。本年度は肝癌特異的AFPプロモーターからCreを発現する「制御ウイルス」と、Cre存在下でのみ強力な汎用プロモーターからHSV-TK遺伝子を発現するスイッチユニットを持つ「発現制御ウイルス」を使用した。In vitroによる解析の結果から、AFPを発現していない肝癌由来細胞ではガンシクロビルによる細胞死は観察されなかったが、AFP発現細胞では50μg/mlで90%以上の細胞死が確認され、有用性が示唆された。そこで胆癌ヌードマウスに静脈注射を用いて投与した結果、腫瘍部の縮小効果は認められたが、AFPプロモーターから直接HSV-TK遺伝子を発現するアデノウイルスベクター(直接発現法)と比べ有意な差は認められなかった。しかしin vitroでは直接発現法よりも少ないガンシクロビル濃度で細胞死が確認されたこと、昨年度LacZ遺伝子を用いたin vivoの予備検討においては、直接発現法と比べ癌細胞特異的に有意な発現細胞が認められていたことから、本法の方が直接発現法より発現量が高いことが推測された。そこで今後はTK遺伝子の発現の確認、よりガンシクロビル感受性のTK遺伝子による検討などを行っていく予定である。
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