プリオン蛋白遺伝子欠損マウスの自家繁殖:この実験に必要な数のプリオン蛋白遺伝子欠損マウスは、ヘテロ型マウスどうしを交配し獲得した。128匹の子マウスから27匹のプリオン蛋白遺伝子欠損マウスを得た。 プリオンの精製:10個のプリオン感染C57BL/6マウス脳から、界面活性剤の存在下で乳剤を作成した後、超遠心分画法にてプリオンの精製を行った。 抗プリオン蛋白血清の作成:レコンビナントマウスプリオン蛋白を大腸菌にて発現させ、イオン交換クロマトグラフィー法とゲル濾過法により精製した。精製レコンビナントプリオン蛋白をプリオン蛋白遺伝子欠損マウスの腹腔内に接種し、抗血清を作成した。それらの抗血清は5000〜10000倍に希釈しても、正常マウス脳乳剤または感染マウス脳乳剤からプリオン蛋白を検出することができた。 異常プリオン蛋白のリポソーム化:まずコントロール実験としてP-galactosidase遺伝子のリポソーム化の検討を行った。最大100μgのβ-galactosidaseDNAをホスファチジールコリンと界面活性剤とを含む溶液と混合しリポソーム化した後、C57BL/6マウスの脳内に接種した。接種後3日目に、還流固定し脳を摘出した。固定した脳組織から凍結切片を作成し、x-galにて染色しβ-galactosidaseDNAが神経細胞内に取り込まれたかどうかを検討した。それぞれ異なった量のβ-galactosidaseDNAを合計20匹のマウスに接種したが、どのマウスの脳の神経細胞にもP-galactosidaseの染色が検出できなかった。今回は、異常プリオン蛋白のリポソーム化まで実験が至らなかった。 感染実験:β-galactosidase遺伝子のリポソーム化のコントロール実験が成功しなかったので、異常プリオン蛋白のリポソーム化もできなく、感染実験も行えなかった。
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