1. G型肝炎ウイルスの遺伝子RNAの高感度検出法の確立 前年度、G型肝炎ウイルス(GBV-C/HGV:以下HGV)の全遺伝子構造を解析し、3′非翻訳領域は各遺伝子領域のなかで最も保存性が高いことが明らかとなった。そこで、3′非翻訳領域のなかでも特に保存性の高い部位を標的部位としてRT-PCR法によるゲノムRNAの高感度検出法を確立した。 2. 高感度検出法を用いたG型肝炎ウイルスの感染状況の把握 1) 非加熱製剤での治療例を有する日本の血友病患者でのG型肝炎ウイルスの感染率が21%(19/91)と高率であり、それらの大多数はアフリカ由来のG型肝炎ウイルスと核酸配列が類似していることを明らかにした。 2) 骨髄移植を受けた80例の血液疾患患者を対象としてG型肝炎ウイルスRNAを測定し、感染状況を調査した結果、移植前にすでに18%の感染率を示し、移植に伴ってさらに11%の患者が新たにG型肝炎ウイルスに感染したことが明らかになった。 3) 一般健康人(供血者16-64歳)でのG型肝炎ウイルスRNAの陽性率は1.2%であり、今回母児間感染の調査対象とした2979人の妊婦でもその陽性率は1.1%(32/2979)であった。32名のG型肝炎ウイルス感染妊婦から生まれた児のG型肝炎ウイルスRNA陽性率は81%であり、一般健康人の集団でも高率にG型肝炎ウイルスの母児間感染が起こっていること、そして母親の血中G型肝炎ウイルス量が母児間感染の最も重要な危険因子であることを明らかにした。
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