研究概要 |
RP105は分子量105kDでマウスの成熟B細胞表面に発現されている分子である。抗体で架橋されると活性化シグナルを伝達し、非常に強い増殖反応をB細胞に誘導する。この活性化されたB細胞は放射線誘導アポトーシスに対して耐性を示すが、抗原レセプター刺激に対しては逆に増殖抑制やアポトーシスを示す。RP105はB細胞の増殖、死滅に関わっていると考えられる。 1.RP105に会合する分子の遺伝子クローニング RP105の細胞内部分はアミノ酸11個と短く、シグナル伝達分子の存在が予想される。その分子の検索として、B細胞リンホ-マを用いて抗RP105抗体で免疫沈降をおこなったところ、分子量約22,25kDのふたつのシグナルが共沈された。N末端アミノ酸配列を決定したところ、22,25kDのシグナルから同一の配列が得られ、同じ分子と予想された。cDNAクローニングを行い塩基配列を決定したところ、分泌タンパクで、チキンですでに報告されていた分子のマウスホモローグであった。得られたcDNAを細胞に発現きせると培養上清中に分泌されるが、RP105と一緒に発現させると、細胞表面に現れた。したがってこの分子はRPl05た結合した状態で細胞表面上に存在し、RP105がなければ分泌されると考えられる。現在、この分子とRP105のシグナル伝達との関連について検討を進めている。 2.ヒトRP105に対するモノクローナル抗体の確立。 ヒトRP105に対するモノクローナル抗体MHR73の作製に成功した。ヒトRP105はCD19陽性のB細胞に発現がみられた。扁桃の免疫組織染色を行うと、主にmantle zoneの、germinal centerに接した部位のB細胞が強く染まった。Germinal centerでのRP105の発現は弱く、全く発現していない細胞もあった。扁桃のB細胞を抗RP105抗体で刺激すると、活性化が誘導された。今後、自己免疫疾患等の患者の細胞を用いて、染色や機能解析を進め、RPl05と疾患との関連を検索する。
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