研究分担者 |
原田 章 関西労働衛生技術センター, 所長(研究職)
政岡 俊夫 麻布大学, 獣医学部, 教授 (30063978)
櫻井 弘 京都薬科大学, 薬学部, 教授 (30065916)
横井 克彦 自治医科大学, 医学部, 講師 (10200883)
野見山 紘子 自治医科大学, 医学部, 講師 (70049039)
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研究概要 |
1 肝機能と血漿カドミウムチオネイン(CdMT)との関係:カドミウム(Cd)中毒発症機序に関する新しい説の確立:Cd曝露によって肝機能異常が起こるか,肝細胞のApoptosisが促進されるために肝のCdMTが大量に血漿中に流出すると考えられるので,肝機能と血漿CdMTとの関係が密であることを証明する。ウサギ13羽に毎日0.5mgCd/kgの塩化Cdを背部に皮下投与し,経時的に採血,採尿し,各種の肝機能,腎機能検査を行った。同時に血漿CdMTを高速液体クロマトグラフ-原子吸光法で測定した。肝機能異常は12週目,血漿CdMTもほぼ同時期に上昇した。尿中酵素,糖,アミノ酸,蛋白もほヾ同時期に上昇した。肝機能異常と血漿CdMT,また,血漿CdMTと腎機能異常との間には極めて高い相関が認められた。以上の結果から,我々の仮説が正しいことか証明された。なお,Cd曝露により肝のApoptotisは多少増加するが血漿CdMT上昇に対する寄与は少ないと考えられた。 2 Cd曝露を中止後の腎機能異常回復:12羽の雄ウサギにCd0.3mgCd/kgを週7日,連日背部皮下に投与し腎機能障害が確認された時点でCd投与を中止し,Cd投与中止後も血漿CdMT,肝機能,腎機能を経時的に検査し,回復状況を観察した。1)腎機能異常が発症してからのCd投与中止時期が遅れると血漿CdMT濃度が著しく高くなってしまい,Cd投与を中止しても肝・腎機能異常はともに回復せず,ウサギは死亡した。2)一旦回復しても再び肝機能異常が悪化して血漿CdMT濃度が上昇し,腎障害で死亡したウサギもいた。3)Cd曝露中止後,糸球体異常を続発して死亡したウサギもいた。
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