研究概要 |
過労やストレスが原因と考えられる突然死が東南アジアや日本でおきている。青年男子に発症例が多い。その成因として慢性的ミネラルバランスの乱れとストレスが引金になると考えた。カリウム(K)とマグネシウム(Mg)に注目した。Mgの体内分布の追跡にstable isotope 26Mgを使い、動物実験を行った。 1. Mg and/or K欠乏下マウスの生存率:(1)Mgのみ欠乏は性差はない。4週間以内に全例死亡した。(2)MgとK同時欠乏では若い雄マウスは2週間後に全例死亡したが、雌は全例生存した。4月令の雄は死亡の時期が1週間遅れた。雌は6週間後までに全例が死亡した。(3)生殖器官を摘出し、Mg/K欠乏食を与えた雌雄マウスの死亡率に性差はなかった。 2. Mg/K欠乏食を1週間後与えたマウスの臓器中元素濃度は、(1)Mg欠乏食であるにも拘わらず心筋、腎中Mg濃度は対照と有意な差はなかった。(2)K濃度は筋の雌雄、肝、腎の雄で有意に低値であった。 3. Mg and/or K欠乏食を1週間与え、26Mgを静注し、その取込を観察した。心筋と腎のMg濃度は正常値を維持しているが、投与した26Mgをかなり取込み、特に心筋は投与6時間後まで取込続けた。 4. Mg/K欠乏における高温ストレスの影響を観察した。通常(23℃,60%)および高温(30℃,60%)環境下で通常食群とMg/K欠乏食群に分け1週間飼育した。餌に関係なく高温環境下で肝、腎、血漿過酸化脂質は上昇するが、脳では不変だった。ミネラル濃度は高温下の雄Mg/k欠乏食群で変動が大であった 以上の結果からMg/K欠乏に対して若い雄が感受性が高く、恒常性維持機能が障害を受けやすいことを明らかにすることができた。
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