研究課題/領域番号 |
09470105
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
福田 勝博 久留米大学, 医学部, 教授 (60045416)
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研究分担者 |
坂田 律 久留米大学, 医学部, 助手 (60258423)
西依 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (30218226)
荻本 逸郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30177159)
中村 純 産業医科大学, 教授 (40148804)
柴田 彰 久留米大学, 医学部, 助教授 (10113226)
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キーワード | 病院対照 / 住民対照 / 飲酒歴 / ALDH2 / 肝がん / 症例対照研究 |
研究概要 |
今年度は爪からの CYP2Elとアルコールデハイドロゲナーゼ2(ADH2)遺伝子型観察方法を検討し、CYP2Elは既報の方法に準じて遺伝子型が観察できることを確認した。また、ADH2遺伝子型観察方法については新たな確実な方法を開発し、同一人の末梢血と爪を用いた結果が一致することも確認した上で発表した。 一方、今年度は、平成4年6月〜平成7年6月の間に福岡、佐賀両県をフィールドとする肝がん症例対照研究として収集した結果を解析し発表した。従来から対照としての入院患者が一般集団から偏っている可能性があったが、そのことを申請者らの地域で実際に観察してはいなかったので、今後も症例対照研究を継続する上での留意事項を明らかにする目的で今回の解析を行った。症例は久留米大学病院受診の原発性肝がん患者で、対照は同大学関連病院の非肝がん患者(HC)と、性・年齢(±3歳)を対応させて無作為抽出した久留米市民(CC)の両者から輸血歴、親の肝疾患既往歴、飲酒歴その他のライフスタイルに関する情報を収集し、爪を採取した。収集数が少なかった女を除き、115名の男の適格症例対照組について解析した。その結果、輸血歴はHCとCC間に差はなかったが、正常ホモALDH2遺伝子型保有者割合、多量飲酒者割合がいずれもHCに高かった。従って各要因と肝がんとの関連をHCに基づくオッズ比(ORHC)とCCに基づくオッズ比(ORCC)で見ると、輸血歴はORHC=1.9対ORCC=1.8で共に有意差はなかったが、親の肝疾患既往はORHC=3.8(5%水準で有意、*)対 ORCC=l.9、正常ホモ ALDH2遺伝子型はORHC=0.9対ORCC=2.1*、多量飲酒はORHC=1.9対ORCC=5.0*となった。すなわち、H Cと CCは正常 ホモALDH2 遺伝子型保有者割合や多量飲酒者割合などで差があり、いずれを対照とするかで結果が異なることがわかった。
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