研究課題/領域番号 |
09470105
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
福田 勝洋 久留米大学, 医学部, 教授 (60045416)
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研究分担者 |
荻本 逸郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30177159)
中村 純 産業医科大学, 教授 (40148804)
柴田 彰 久留米大学, 医学部, 助教授 (10113226)
坂田 律 久留米大学, 医学部, 助手 (60258423)
西依 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (30218226)
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キーワード | アルコール症 / アルコール代謝関連酵素 / AUDIT / cut-off値 / 敏感度 / 特異度 |
研究概要 |
今年度は、アルコール関連疾患の一つの、アルコール症(AUD)とアルコール代謝関連酵素遺伝子型観察のための前段階として、AUDスクリーニング法の開発と検討を行った。 AUDのスクリーニング法としてWHOが開発したAlcohol Use Disorder Identification Test(AUDIT)質問紙がある。10項目の質問項目からなるAUDITを、飲酒頻度や量に関する項目を北九州地区住民向けに改変し翻訳した9項目からなるK/AUDIT質問紙を開発した。次いでK/AUDITの有用性を明らかにする目的で、K/AUDITのcriterion-related validityを調べた。久留米大学病院とその関連診療科に入院し、専門医が診断した男のAUD106症例と、同じく専門医がAUD以外の疾患であると診断した男の非AUD106症例にK/AUDIT質問紙法を実施し、エタノール12.2gを1standard drinkとしてK/AUDITのスコアを算出した。K/AUDITスコアは0〜33の範囲に分布し、AUDであるか否かを判定するcut-off値と敏感度、および特異度の関係をROC曲線でみると、曲線下面積は0.983であり、cut-off値を12とすると、専門医の診断とK/AUDITによる判定結果との一致割合は0.939、k統計量0.877、敏感度0.915、特異度0.962となり、K/AUDITは高いcriterion-related validity を持つことがわかった。すなわち、K/AUDITを用いれば、精神科専門医による診断を実施しなくても、AUDの可能性が高い者と低い者を高い確率のもとで区分でき、精神科以外の受診療科診者や一般住民を対象としてアルコール症(AUD)とアルコール代謝関連酵素遺伝子型との関連性の観察を可能にしたと考えられる。 肝癌については、昨年度と同様の方法で、症例と対照数の増加に努めており、最終年度には実質的な結果が得られる予定である。
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