研究課題/領域番号 |
09470108
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
磯 博康 筑波大学, 社会医学系, 助教授 (50223053)
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研究分担者 |
飯田 稔 大阪府立成人病センター, 集検I部, 部長
小池 和子 茨城県立医療大学, 保健医療学, 教授 (60110508)
谷川 武 筑波大学, 社会医学系, 講師 (80227214)
嶋本 喬 筑波大学, 社会医学系, 教授 (50143178)
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キーワード | 血小板凝集能 / 血清脂肪酸構成 / 魚介類 / 危険因子 / 循環器疾患 |
研究概要 |
循環器疾患の発症に対する血小板凝集能の関与を追究するために、身体・生活要因と血小板凝集能との関連を秋田県井川町及び高知県野市町における50〜70歳の男性306人について検討した。凝集能試薬にADP(adenosin5-diphosphate)を用い、比濁法により血小板凝集能閾値係数(PATI:the platelet aggregatory diphosphate)を求めた。血小板数、平均血小板容積、白血球数、および血清脂肪酸構成割合の測定も行い、魚介類摂取および大豆摂取に関する調査を1週間の食事記録により行った。PATIはI町、N町とも対象正規分布を示した。I町はN町に比し、対数変換したPATI(logPATI)の平均値が高く、血小板凝集能が低かった。 重回帰分析の結果、logPATIと有意な正の関連を示したのは血清n-3系多価不飽和脂肪酸構成割合であった。逆にlogPATIと有意な負の関連を示したのは、血小板数、平均血小板容積、白血球数、年齢であった。また、logPATIとlogγGTPとの間には正の関連傾向が、逆にlogPATIと血清アラキドン酸構成割合との間には負の関連傾向が認められた。大豆蛋白摂取量および喫煙についてはlogPATIとの間に明らかな関連は認められなかった。 次に魚介類(n3系多価不飽和脂肪酸)の摂取が血小板凝集能に及ぼす影響を調べるため、28〜58歳(38±12歳)のボランティア7人(男性4人、女性3人)を対象とした介入研究を行った。1日あたりn3系多価不飽和脂肪酸約10gに相当する魚を17日間連続して摂取し、その後は各自の通常食に戻した。摂食期間中は、魚の油づけやフライを含む揚げ物・炒め物などn6系多価不飽和脂肪酸が多量に含まれる油料理ならびに飽和脂肪酸の多い肉類はできるだけ控えた。凝集試薬にはADPおよびコラーゲンを用いた。血清n3系多価不飽和脂肪酸の構成割合は魚摂取期間中速やかに上昇し、摂食開始前の約3倍に達した。また、摂食期間中血小板数が徐々に減少し、逆に平均血小板容積が増加し、両者とも魚摂食期間終了後徐々に回復した。logPATIはADP、コラーゲンいずれの凝集試薬を用いても魚摂食期間中に有意ではないが上昇傾向(血小板凝集能の低下傾向)を示した。 以上より、日常生活で積極的に魚を摂食することが血小板凝集能の亢進を制御する可能性が示されたが、魚摂取によって血清および血小板のn3系多価不飽和脂肪酸が速やかに変化するのに対して、血小板凝集能に変化はそれよりも遅れて発現する可能性が考えられた。
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