研究概要 |
糖尿病の発生と進展防止における「炭水化物(糖質)」の重要性をヒトおよびラットを用いて確認するとともに,疫学調査および臨床研究によって実証し,「糖尿病は糖質摂収量の減少によって発症し,高糖質食は糖尿病の治療に有効である」という申請者の作業仮説を検証する。本年度は,ヒトおよびラットを用いる実験を行って「糖質摂取量」と「耐糖能」に関する量-影響関係を明らかにするとともに,低糖質食による耐糖能悪化のメカニズムを解明した。 志願者実験: 健康成人ボランティアを募り,参加者全員から文書によるインフォームド・コンセントを得た。参加者は「高糖質食=1日の糖質の摂取カロリー80%」または「低糖質食=1日の糖質の摂取カロリー10%」を3日間,1日,1食摂取した。それぞれの試験食の摂取後(翌日の午前10時)に75gOGTT(oral glucose tolerance test)を行った結果,低糖質食の摂取によって有意に耐糖能が悪化した。また,「高糖質食」または「低糖質食」を1日摂取させた後,インスリン感受性試験・FSIGT(frequently sampled intravenous glucose tolerance test)を行った。低糖質食の摂取によって,有意ではないもののインスリン感受性が低下した。 動物実験: 「糖質摂取量」と「耐糖能」に関する量-影響関係を明らかにした。その結果,糖質の摂収量が少ないほど耐糖能が悪化し,インスリン感受性(euglycemic-hyperinsulinemic glucose clamp法による)も低下していた。
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