研究概要 |
イギリスの公務員を対象としたWhitehall II Studyと比較可能なデータをもとに、以下の研究を行った。平成9年度に35歳以上のT市職員1,652人(男1,100人、女552人)を対象に健診及び問診を実施した。健診は1,543人(受診率93.6%)が受診し、問診は1.364人(回答率83.4%)が回答した。 職種別に男の喫煙率をみると、事務員、技術員・教員では約40%であったが、技能員、消防では60%を越えていた。 仕事の要求度-コントロール-支援モデルに基づき、個人および職場を単位として仕事の要求度が個人の自覚的健康度に与える影響を明らかにすることを目的として、回答者が4人以上の130課の1,138人(男834人、女304人)を対象にmultilevel analysisを行った。自覚的健康度の回答のうち、「悪い」、「きわめて悪い」と回答した自覚的健康度不良群は195人、それ以外の自覚的健康度良好群は943人であった。この自覚的健康度(不良)を目的変数として、個人レベルでの仕事の要求度、コントロール、社会的支援の大小を説明変数とする分析と、職場(課)レベルで仕事の要求度、コントロール、社会的支援が大きいとする者の割合の大小を説明変数とする分析(multilevel analysis)を行った。個人レベルでは仕事の要求度が大とする者で小とする者に比し、オッズ比で2.23倍、自覚的健康度が不良であると回答する者が多かった。同様にコントロール、社会的支援でのオッズ比は、それぞれ1.09、0.63であった。職場レベルでは仕事の要求度が大きいとする者の割合の大きい職場で小さい職場に比し、オッズ比で1.36倍、自覚的健康度が不良であると回答する者が多かった。
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