マウスにおいてヒスタミンH2受容体遺伝子を標的とするノックアウトを行うため、マウスヒスタミンH2受容体遺伝子全長ならびにその5'上流域を含む遺伝子クローニングを行った。さらにノックアウトに必要な変異ヒスタミンH2受容体遺伝子ならびにネオマイシン耐性遺伝子、チミジンキナーゼ遺伝子を含むターゲッティングベクターを作成した。このベクターをES細胞にエレクトロポレーションによって遺伝子導入し、G418およびガンサイクロビルによる2重選択法で残存クローンを得、これらのなかからPCR法ならびにサザンブロット法により相同組み替えの認められるクローンを一株得た。そのクローンを胚細胞へマイクロインジェクションしたが、現在のところキメラマウスの誕生に至っていない。さらに相同組み替えクローン株を得るべく努力している。なおマウスヒスタミンH2受容体遺伝子情報に基づいて、その推定アミノ酸配列からオリゴペプチドを作成しそれに対応する抗体を作成し、マウスH2受容体遺伝子産物の免疫組織学的検討を行ったところ、胃粘膜ではH2受容体は壁細胞にのみ特異的に分布していることが明らかになった。これは以前サイエンス誌に発表された論文の誤りを証明するもので、現在論文として投稿中である。 そのほか、以前からのH2受容体調節の分子機構に関する研究も継続しており、受容体刺激後の細胞内移行に関与すると考えられるH2受容体C末端側の特定部位の重要性を明らかにし英文論文として発表するとともに、H2受容体が多量体として存在する可能性を明らかにし、これも英文論文として発表した。
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