研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)全長遺伝子のcDNAをT7プロモーターの下流に導入した発現ベクターをIMY細胞にトランスフェクションし,さらにT7RNAポリメラーゼ発現組換えアデノウイルスを感染させてHCV蛋白質を発現させた。マイナス鎖のHCVRNAが細胞内に存在し,HCVが増殖していることが確認された培養細胞系を用いて,RTD-PCR法による遺伝子複製効率を解析すると,3´X領域の存在が重要であることが判明した(5th International Meeting on Hepatitis C Virus and Related Viruses,1998)。そして,この3´X領域を含むHCVcDNAを導入発現したIMY細胞の免疫電顕法による検討では,細胞質内に抗コア抗体と特異的に反応する直径30〜40nmの内部に核酸を有するコア様粒子構造物が検出され,さらに小胞体内には抗エンベロープ抗体と特異的に反応する50〜65nmのウイルス様粒子を観察することができた(第46回日本ウイルス学会総会,第21回日本分子生物学会年会,1998)。これらの成績は培養細胞内でのHCV粒子の形成過程を分子生物学的並びに超微形態学的に捉えたことを示していると考えられる。また,上記細胞培養上清の蔗糖密度勾配遠心法による解析では,比重1.10,1.14,1.25にHCVRNAのピークを認め,金コロイド免疫電顕法によって抗エンベロープ抗体と特異的に反応するウイルス様粒子と抗コア抗体と特異的に反応する正20面体の粒子構造物を観察することに成功した(第21回日本分子生物学会年会,第34回日本肝臓学会,1998)。さらにこれらの成績を確認すべく,研究を継続して行っているところである。
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