研究概要 |
Trefoil peptide(TP)のうち、rITFをHarvard大学Podolsky教授より提供を受けたため、その培養胃粘膜細胞に及ぼす種々の効果を検討した。まず、MKN28ヒト胃癌細胞株に対してその増殖ならびに分化機能に対する効果を検討した。さらに、ラット正常胃粘膜細胞RGM-1に対する粘膜修復促進作用、増殖におけるTPの役割を検討した。胃粘膜の単層培養細胞に、我々の考案した方法により円形の欠損部を作成しその治癒過程を検討した。その治癒過程におけるTPの役割とその発現を組織学的及び生化学的方法を用いて解析した。結果として、rITFには、増殖促進作用および組織修復促進作用のあることが明らかとなった。胃潰瘍に関してはラット胃に錯酸潰瘍を作成しその治癒過程を追跡し、そこにおける各種増殖因子、TPの発現を検討した。これら粘膜障害の治癒過程において免疫組織学的検討に加え, TPの局在,産生細胞を検討した。in vivoでのTP蛋白の発現を免疫組織学的、免疫蛍光学的及びWestern blottingを用いて検討した。TPは、胃粘膜の胃底腺側および幽門腺側に存在したがその分布は異なっていた。胃潰瘍修復においてその発言が増強された.TPのmRNA発現に関しては,pS2 geneのcDNAをRT-PCRを用いて作成し、それをプローブとしてNorthem blottingにより検討した。培養細胞におけるTPの発現を、RT-PCR法とPRISM7700を用いて定量的に解析する方法を開発した。
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