研究概要 |
本研究の目的は致死的不整脈の危険性と治療効果の判定を可能とすることである。この目的のためT波高のオルタナンスを検討する。本研究は3年間患者の検査登録を行い以後追跡調査する計画である。 平成10年度実績 現在約240例の登録が行われた。解析の進んだ76症例について次のような結果を得た。症例の内訳は特発性心筋症(DCM 14例、HCM 18例)、陳旧性心筋梗塞(OMI 14例)、高血圧性左室肥大(HLVH 17例)、特発性心室頻拍症(4例)および健常者(9例)である。6連発以上、周期500msec以下の心室性収縮連発を心室頻拍(VT)とし、VTまたは心室細動(VF)が記録された患者群を危険 VT群とした。全体として危険VT群に対する運動負荷TWA検査の感受性は75%、特異度は52%、Positiveaccuracy は36%、Negative accuracyは85%であった。これを疾患別に検討すると健常人及び特発性V,T以外の症例ではTWAの感受性は88%以上、negative accuracyは67%以上と高値であった。PositiveaccuracyはDCM群で64%と高いが、HCM群及びHLVHではそれぞれ20、17%と低く、OMIでは40%であった。安静時におけるTWA陽性はDCM群においてpositive accuracy80%であったがHCMでは25%と低かった。運動負荷TWA検査はDCM.HCM.HLVH.OMIにおける致死的VT/VFの発生予測に対して感受性、negative accuracyに優れる方法であると言える。DCM.OMIでのTWA陽性は致死的頻拍性不整脈の危険性を示唆するものと考えられるが精度改善のためにさらに研究を続行する必要性がある。
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