研究課題/領域番号 |
09470159
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
永井 良三 群馬大学, 医学部, 教授 (60207975)
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研究分担者 |
宇都木 敏浩 , 教務員 (10282386)
新井 昌史 , 助手 (60270857)
中村 哲也 , 講師 (10272238)
倉林 正彦 群馬大学, 医学部, 助教授 (00215047)
鍋島 陽一 京都大学, 医学部, 教授 (60108024)
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キーワード | Klotho / 老化 / 動脈硬化 / 腎不全 / 高血圧 |
研究概要 |
個体老化の抑制機能をもつklotho遺伝子はβグルコシダーゼに約30%のホモロジーをもつ膜蛋白であるが、同時に分子量がやく7万の分泌蛋白としても存在する。これは腎尿細管に最も大量に発現する。これまでの検討から、klotho蛋白は、血管内皮細胞のNO産生を高めることにより、血管保護効果を示す液性因子と考えられた。本年度は腎臓におけるklotho遺伝子の発現調節と、klotho遺伝子の血圧制御や血管病変の形成におけるklotho遺伝子の意義を明らかにすることを目的とした。 高血圧自然発症ラット(SHR)、DOCA食塩高血圧ラット、5/6腎摘による慢性腎不全ラット、肥満・糖尿病・高脂血症合併ラット(OLETFラット)の病態モデルの腎臓におけるklothoの発現を検討した。またklotho遺伝子欠損へテロマウスに食塩負荷を行い血圧の変動を、さらに高脂肪食を投与し粥状動脈硬化の形成を検討した。その結果、高血圧自然発症ラット(SHR)、DOCA食塩高血圧ラット、5/6腎摘による慢性腎不全ラット、OLETFラットのいずれの病態モデルでも原疾患の進行に伴ってklotho mRNAが低下した。またklothoヘテロマウスに対する食塩負荷は速やかに高血圧を、高脂肪食負荷は粥状動脈硬化の形成を促した。以上より持続性の代謝性および循環系の負荷は腎臓におけるklotho遺伝子の発現を低下させること、またklotho遺伝子の欠損は環境因子による血管病態形成の促進要因となることが示された。
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