【CARP遺伝子のクローニングと転写調節機序の解析】 アンキリン反復配列を含む核蛋白CARPの発現は、アドリアマイシンによって急激に減少し、細胞障害を鋭敏に反映する生化学的な指標と考えられる。そこで、細胞障害刺激による遺伝子発現調節機序を明らかにする目的でヒトCARP遺伝子をクローニングし、プロモーター機能を解析した。CARPプロモーターは心臓、血管内皮細胞、血管平滑筋細胞中にて強い活性を示した。CARPプロモーターの転写活性は、転写開始点から-1.8kbまでの間に存在する多数の因子によって調節されること、-206〜+170の領域が基本転写に重要であること、この部位にはSp1の結合部位が存在することを明らかとした。また、-206〜+170の領域は、エンドセリン刺激にて10倍以上の活性亢進を認めた。また、p38経路の活性化を誘導するsmall G蛋白(Rac1)は、CARPプロモーターを強力に活性化した。同様にBNPプロモーターもp38MAPキナーゼ経路が重要であることを明らかにした。
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