ヒトの高血圧素因遺伝子に関しては、アルドステロン合成酵素のプロモーター変異の検索を続けているが、T(-344)C変異と食塩感受性に関して関連を示唆する結果を得た(Hypertension in press)。ただ、このT(-344)C変異そのものが、機能的意義を持つとは考えにくく、意義のある別の変異と連鎖しているために得られた結果と解釈しており、更にプロモーター変異の検索を続けていく予定である。 ヒトSa遺伝子と高血圧の関連に関しては、第一イントロンに、Alu-like sequenceの挿入欠失変異を見いだし、これと高血圧の関連を日本人・オーストラリア白人を対象に行い、関連のある可能性を得た。現在、第一イントロンのAlu-like sequenceの挿入欠失変異の機能的意義に関して検討中である。 ラットに関しては、SHRのSa遺伝子領域を、WKYの遺伝的背景に導入した、コンジェニック・ラットの作成を行い、テレメトリーを用いて血圧測定を行い、Sa遺伝子領域に食塩感受性遺伝子の存在を確認した(Hypertension 1998;32636-638.)。今後、トランスジェニックの作成をめざす。 SHRとLewisラットを用いてF2ラットを作成し、血圧・心重量を測定、全クロモゾームを平均15cM間隔でスクリーニング行い、心重量に、血圧とは独立して影響を及ぼす座位を同定した(manuscript in preparation)。
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